L'Orologio di Santa Maria del Fiore

サンタ・マリア・デル・フィオーレの時計

作者:パオロ・ウッチェロ
制作:1443年
媒体:フレスコ画
寸法:470 cm × 470 cm
所蔵:サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂

L'Orologio di Santa Maria del Fiore

概要

 サンタ・マリア・デル・フィオーレの時計は、イタリア時間を刻む現存する世界で唯一の時計で、正面扉の上に取り付けられている。

L'Orologio di Santa Maria del Fiore

文字盤

 パオロ・ウッチェロが制作したのは、四隅に福音書記者が描かれたフレスコ画の文字盤と、金色の流れ星のような形の針である。1443年2月22日に支払いを受け取っている。
 福音書記者は、マルコマタイ、ルカ、使徒ヨハネの4名であるが、描かれている人物が誰を表しているのかについては特定されていない。
 イタリア時間と呼ばれる、日没から始まる24時間制を採用した時計で、反時計回りに針が動く仕組みになっている。日没を24時とし、つまり1時は日没から1時間を表す。長針、短針はなく、針は1本である。

L'Orologio di Santa Maria del Fiore

内部

 内部機構を見るためには、地上約15メートルまで狭い螺旋階段を上る必要がある。サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のファサードと内装の間に位置する。
 1443年、フィレンツェ人時計職人アンジェロ・ディ・ニッコロが、重りと釣り合い重りの機構を設計したが、正確な情報は残されていない。

L'Orologio di Santa Maria del Fiore
L'Orologio di Santa Maria del Fiore

イタリア時間

 イタリア時間とは、イタリアを中心に14世紀から広まり、用いられた時刻。1日を24分割し、日没を始点として数えられる。そのため、残りの日照時間の把握が容易であるという利点があったものの、日没時間の変動に伴い時刻が影響を受けるため日毎修正を要し、装置の維持には労力が伴った。
 城郭都市の門が日没に閉じられてしまうため、その時間を知ることは重要だったのである。また、教会暦においては1日は日没に始まり日没に終わる。

フランス時間

 イタリア時間はユリウス時間とも呼ばれ、ローマ化されたヨーロッパ、中東、北アフリカにて採用されていた。それ以外のヨーロッパでは、アルプス以北時間またはフランス時間と言われる時刻が使われていた。12時間制で正子から正午を午前、正午から正子を午後と言い、1583年にはグレゴリウス13世の名前をとってグレゴリオ時間として知られるようになる。
 1669年、国際協定によりグレゴリオ時間が普及するようになると、パオロ・ウッチェロの文字盤は12時間制のものに差し替えられた。

修復

 1968年から5年間かけて修復が行われ、12時間制の文字盤は取り除かれた。その下には別の12時間制の文字盤が見つかり、さらに下に作者不明の24時間制のものがあった。

L'Orologio di Santa Maria del Fiore

Paolo Uccello
Paolo Uccello
 1973年、当初のパオロ・ウッチェロのフレスコ画がよみがえった。パオロ・ウッチェロ作の鍍金された銅の針は、17世紀に12時間制が実装された時に失われてしまっている。元の針を再現するため、「光線の先が、時計の星の鍍金へと1つの球の鍍金へ」と書かれたパオロ・ウッチェロの注文依頼書を遡り、また、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂パオロ・ウッチェロが制作したステンドグラス「キリストの降誕」に描かれたベツレヘムの星を参考した。こうして、時を知るための針が装着された。
 1980年代から再びイタリア時間で時計は回され、毎週修正されている。

現在の時間では

 なお、当時の時間を現在の時間で知りたければ、換暦(外部)を使ってユリウス暦をグレゴリオ暦の月日に変換し、高精度計算サイト(外部)の日の出日の入り(外部)で日没を調べると良いだろう。
 例えば1500年10月29日22刻ならば、グレゴリオ暦では11月8日、ローマの日没が16:57:25なので、15時頃となるわけである。

日付の変わる時間

 何時に日付が変わるのかについてはっきり書かれたものを見つけられなかったのだが、中心にしている日没で翌日となるのではないかと推測される。それを考慮するとややこしくなって、文献によっては日付がまちまちであることが生じるのは、筆者が現在使用されている時間の0時を当てはめて書いていることが起因している可能性もある。しかし、ユリウス暦を使っていた時代のものは、やはりイタリア時間で表記すべきだろう。
 よって、当サイトでは日付は当時のもので、上記のようにイタリア時間を〇〇刻、その後ろにグレゴリオ時間を(〇〇時)と表記するよう統一しようと思う。長い間常々手紙に記載された時間について疑問を持っていたのだが、日本語で当時の時刻について書かれている文献が一切なく、根気よく調べた結果ようやく今判明したので、これから修正が大変だ。

英語

 24-hours-clock

外部リンク

 Intoscana.it
 Opera Magazine
 Tuscan Traveler
 Web Gallery of Art
 Wikipedia
 Wikipedia - Ora italica
 YouTube - The Clock of the Duomo

記載日

 2018年5月17日